ジムカデ(地百足、学名:Harrimanella stelleriana (Pall.) Coville)は、ツツジ科ジムカデ属に分類されるほふく性常緑小低木の1種。地をはう茎がムカデに似ていることが和名の由来。種小名のstellerianaは、ドイツ人分類学者のゲオルク・シュテラーを意味する。

特徴

枝は直径約1 mmの細い針金状で、分岐しながら地をはって広がり、枝先は斜めに起き上がるか直立する。木の高さは3-7 cm。葉は長さ2-3 mm、幅約1 mmの楕円形または広被形(鱗片状)でほとんど柄がなく厚みがあり革質、枝に密に互生する。葉の多くは2年生、上面はなめらかで濃い緑色で、下面は太い中脈が通り、光沢があって毛はない。枝先に短い花柄を出し、白い花を下向きまたは横向きにつける。開花時期は7-8月。花冠は長さ4-5 cmの先がややつぼまった広鐘形で5深裂する。萼は紅紫色で5全裂する。雄蕊は10個で、葯に角状の突起がある。果実の朔果は直径3.5 mmほどの球形で、直立し、円錐状の花柱が残る。

分布と生育環境

日本、千島列島、樺太、カムチャッカ、アリューシャンから北米北西部にかけての北太平洋沿岸や島嶼に分布する。基準標本はベーリング島のもの。

日本では、北海道(礼文島、大雪山系、夕張山地、日高山脈、知床山地)と本州の中部地方以北(月山、吾妻山、飛騨山脈、木曽山脈、赤石山脈中部以北)に分布する高山植物である。

寒帯や高山帯の、岩場、礫地、草地に生育する。日当たりのよい多湿な場所に群生する。

分類

ジムカデ属は2種(本種:H. stellerianaH. hypnoides)が知られている。日本には本種のみが分布する。

脚注

注釈

出典

参考文献

  • 小野幹雄、林弥栄(監修) 編『原色高山植物大図鑑』北隆館、1987年3月30日。ISBN 4832600079。 
  • 清水建美、門田裕一、木原浩『高山に咲く花』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑8〉、2014年3月22日。ISBN 978-4635070300。 
  • 田中澄江『新・花の百名山』文藝春秋、1995年6月。ISBN 4-16-731304-9。 
  • 豊国秀夫『日本の高山植物』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1988年9月。ISBN 4-635-09019-1。 
  • 佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 草本Ⅲ合弁花類』平凡社、1981年10月。ISBN 4582535038。 
  • 前沢秋彦『高山植物』保育社〈標準原色図鑑全集 11〉、1970年1月。ISBN 4586320117。 
  • 林弥栄『日本の樹木』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2011年11月30日。ISBN 978-4635090438。 

関連項目

  • 高山植物
  • ジムカデ(同名のムカデ)

外部リンク

  • ジムカデの標本 国立科学博物館標本・資料統合データベース
  • Harrimanella stelleriana (The Plant List)(英語)
  • Harrimanella stelleriana (Plants)(英語)

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