サワフタギ(沢蓋木、学名: Symplocos sawafutagi)はハイノキ科ハイノキ属の落葉低木。別名、ルリミノウシコロシニシゴリ。有毒植物。

名称

和名「サワフタギ」の由来は、沢をふさぐように茂ることによる。別名「ニシゴリ」は錦織木(にしきおりぎ)の意味で、材の灰汁を紫染めの媒染剤に用いたことによる。また、実の姿がカマツカ(別名ウシコロシ)に似ることから、別名で「ルリミノウシコロシ」ともよばれている。

分布と生育環境

日本、朝鮮半島、中国の東アジア地域に分布し、日本では北海道、本州、四国、九州に分布する。山野に生え、山地に生え、沢や湿地などの湿り気のある場所に生育する。

特徴

落葉広葉樹の低木から小高木で、樹高は2–6メートル (m) になる。枝を横に広げる樹形になる。枝は灰褐色でよく分枝し、樹皮が縦に細く浅裂する。老木の樹皮は、裂け目が深く割れてくる。若木の樹皮の表面は滑らか。一年枝は細く、灰褐色で毛がある。

葉は単葉で互生し、葉身は倒卵形から楕円形で先端は急に短く尖って、基部は楔状に細くなり、長さ4–8センチメートル (cm) 、幅2–3.5 cm。葉柄は長さ3–8ミリメートル (mm) になる。葉の表面にはまばらに圧毛があってザラザラし、裏面の葉脈に毛が生え、縁には先が内曲した細鋸歯がある。

花期は5–6月。本年枝の先端に円錐花序を出して、白い花を多数咲かせる。花は径7–8 mmの白色で、花冠は5深裂する。雄蕊は多数つき、花冠より長い。雌蕊は1個。

果期は9–10月。果実は核果で、ゆがんだ卵形で長さ6–7 mmになり、熟すと藍色がかった鮮やかな瑠璃色になる。落葉後も果実は枝に残り、冬には果序の細い枝が残る。

冬芽は枝の先端に仮頂芽がつき、枝に側芽が互生する。冬芽は円錐形で小さく、芽鱗6–8枚に包まれており、枝とほぼ同色。葉痕は三日月形で、維管束痕が1個ある。

利用

材は器具材や細工物に用いられ、燃やした後の灰は媒染剤になる。

分類

本種の属するハイノキ科はかつてビワモドキ亜綱 Dilleniidae カキノキ目 Ebenales であったが、分子系統解析の結果、ツツジ目とされた。

品種、変種

  • シロミノサワフタギ Symplocos sawafutagi Nagam. f. leucocarpa (Nakai) -果実が白く熟す。
  • オクノサワフタギ Symplocos sawafutagi Nagam. var. terrae-nivosae Baba -本州の日本海側に分布し、葉に毛がない。

脚注

参考文献

  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、64頁。ISBN 978-4-416-61438-9。 
  • 西田尚道監修 学習研究社編『日本の樹木』 5巻、学習研究社〈増補改訂 ベストフィールド図鑑〉、2009年8月4日、75頁。ISBN 978-4-05-403844-8。 
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、260頁。ISBN 4-522-21557-6。 
  • 佐竹義輔ほか 編『日本の野生植物 木本Ⅱ』平凡社、1989年2月。ISBN 4-582-53505-4。 
  • 米倉浩司『高等植物分類表』邑田仁 監修(重版)、北隆館、2010年4月10日。ISBN 978-4-8326-0838-2。 

関連項目

  • ハイノキ

サワフタギの花

植物図鑑サワフタギ

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サワフタギ ー 杜の都の樹木

サワフタギ